平成15年第3回(9月)議会 井手口良一一般質問(9月16日)

機構改革について
イ)人事課を部に格上げすべきでは?
ロ)企画部の総合企画課の内、予算や事務事業評価に関わる部門を財務部に移管して、財務部の所謂、主計部門及び財政予測部門を強化してはどうか?
ハ)企画部総合企画課の政策審議調査部門と公聴広報課の広報部門、さらに総務部の秘書課を統合して、部と同格の(仮称)市長官房室を新設しては?
ニ)現在の契約検査室の契約部門と管財課で所管している物品などの購入部門、各課対応となっている業務委託などの契約部門を、全て統合して契約部を創設し、現在の契約検査室は契約検査、施工管理、及び検収など検査部門のみに特化、専門化するべきでは?


総務部長答弁
イ)人事課の部への格上げについては、人事担当の職員を増員し、人事課を部に格上げすることは、人事行政の客感性等を高めるために考慮すべき措置のひとつであろうかと思うが、現在行政改革の中で、人員配置についても厳しく絞り込んできている状況において、定員及び組織を管理する部署自らが人員増を伴う拡充を行うことは、困難な状況である。

ロ)企画部総合企画課の事務事業評価に関わる部門の財務部への移管については、総合計画の策定や行政改革の推進に加え、行政評価など新たなる業務も加わり、事務分掌が質量 とも膨大となってきており、行政改革の推進や行政評価を担当する部門の分離・設置など、その業務の分散化について、現在検討している。

ハ)市長官房室の新設については、現在市長室の充実強化に向け、企画部総合企画課に「政策審議調査担当」を配置し、新たなる取り組みを行い「職員提案制度」など一定の成果 を得ていることから、「重要事項の迅速な対応」「市民参加と協働」を念頭に、さらなる市長室機能の充実に向けた機構の構築について検討している。

ニ)契約部の創設については、一般的には事務の集中化により、事務処理の効率化、専門化、標準化が促進されると云われているが、一方では、過度な集中化は、却って事務の複雑化や管理責任の希薄化を招く怖れもあり、契約部の創設につきましては、こうした観点に立ち、どこまでも一元化し、どこから分散化するのが最も効率的なのか、十分に検討する必要があると考えている。
 本市の組織・機構については、多様化、高度化する市民ニーズに柔軟かつ的確に対応するため、社会経済情勢の変化や法令の改正などに伴う、新たな行政課題の把握に務めると共に、毎年度、中核市の組織・機構の調査などを行いながら、恒常的に、その見直しを行ってきているところである。
 市政執行の効率化と市民サービスの向上の観点に立った、機構改革の多岐にわたる具体的な提言については、今後とも参考にしながら、地方分権時代にふさわしい組織・機構の構築に取り組んでいきたいと考えている。

解説  
誰がやろうと、どのような結果であろうと、職員の半数には理解され歓迎され、あとの半数には不満と疑問をもたれることは、人事の宿命です。それにしても昨今の人事にまつわる職員の不平不満と不信感は目に余るものがあります。また大量 雇用した年代が管理職となる時期となったことで、人事に停滞感や、人材登用上の不公平感を生じるようにもなっています。  人事考課は職員の適材適所配置を図ることだけでなく、職員の仕事に対する意識そのものを左右する、将に市政執行の活性化と効率化を図る上での、基本的な前提となる要素です。 人事システムの拡充を図ることは、その意味でも行政改革の根幹をなすものとわたしは考えています。約3,800人もの大量 な職員について、その勤務を正確に評定し、人格や適正を的確に把握した上で、適材適所を念頭に、最善の人事考課を図るために、3,800人の職員数に対応できる担当者数が必要であり、その権威を確保するためにも、人事部の創設を強く期待するところです。


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職員全員について上司、部下、同僚の評価に基づき、共通 の書式に則った絶対評価方式の勤務評価表を作成して、それを職員本人に通 知確認してもらう、職員通信簿とも云うべき、職員通知表制度を導入してはどうか?


総務部長答弁
 現在、各職員の勤務評価については、所属部長、課長などからのヒアリングを行う中で、職務知識、判断力、実行力、責任感、向上心、コスト意識など12項目について、局間的な基準に基づいた評価を行っており、この評価を基本として、職員個々の適正、過去の移動歴、資格などを総合的に勘案し、人事異動を行っている。
 人事異動を行う際の人事考課のあり方については、公平性、納得性が最も重要視されるべき事項であり、そのためには目標管理による自己評価、自己申告、部下による上司評価、、第三者機関による苦情対応など、様々な制度を調査、研究していく必要があると考えており、議員提案の職員通 知票制度についても、今後、より完成度の高い人事評価システムを目指す中で、研究課題のひとつとしたい。

解説  
本議会では職員の意識改革についての論議が、度々なされましたが、そこでそのための具体的な方策として、一案を呈しました。 繰り返しますが現行の人事考課に対する、職員の不信感や不平不満を払拭するためには、まず組織内に於ける自らの評価についての、客感性を持った情報を本人自身に知らしめるべきではないかと考えます。 情報公開の時代、どんな情報でも公開する。あるいは公開できない情報というものを限りなくゼロに近づける、行政としての努力の一環として、またその努力をしていることの非常に分かりやすい証拠の第一歩として、個人の勤務評価表をその個人本人に情報公開することを提唱します


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管理職登用制度として、志願制度あるいは立候補制度と登用試験制度を組み合わせて実施することを提案します。


総務部長答弁
 登用試験については客間的な序列は確保されるものの、試験の結果と勤務評価の不一致、試験勉強重視による公務能率の低下、不合格者や受験断念者の増加による組織モラルの低下などのデメリットも予想され、本市においては、昇任試験を実施するに至っていないのがげんじょうである。しかしながら、総合的な人事評価システムを構築する上では試験制度は欠かせない要件であり、メリット、デメリットの詳細な分析を始め、その導入について、今後調査、研究していきたい。
 管理職への志願制度は、その前提となる、一般職を含めた自己申告制度について、現在検討を行っており、まずは本制度の導入を図り、その後自己アピール意識の向上を見極めながら、管理職への志願制度も検討していきたい。

解説  
同じ年齢の職員が集中して管理職世代に突入し、また集中して退職することになる時代が目前に近づいてきました。  日本の行政職の人材登用は、長い間年功序列を基本としてきました。しかしながら、同年代の職員がそれよりも若い世代の年代の職員に比較して、非常に多く、管理職のポストに限界がある時代となった今日、職員のやる気と職場や行政システムそのものの活力を保持していくためには、年功序列的な人材登用制度を諦めざるを得ません。そこで現在の年功序列を基本とした人事考課に変わる、新しい人事考課システムを、大分市も独自に勘案していかざるを得ないはずです。


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大分市全域にボランティアとしての、隣保班生活環境監視員を配置する制度を創設し、その監視員として大分市在住の市職員全員を委嘱する制度を創設しては?


総務部長答弁
 現在、市政オープン宣言のもと「市民参加」を標榜し、市民が主体となったまちづくりを進めているところである。  市職員も地域に帰れば、地域の一住民であり、市政情報に長じた貴重な地域住民の1人として、地域の中核となって活躍することにより、地域の皆さんから信頼される存在となり、ひいては、そのことが市民の市政への信頼と参画に繋がるものと確信している。
 しかしながら、職員をして片やボランティアと位置付けながら、片や半ば任務として地域監視を義務づけていくことには、そのバランスにおいて限界があろうかと思うので、全職員を対処にすることには困難な面 がある。職員が参加意欲をますような啓発を行っていきたいと考えている。
 いずれにしても「おでかけ市長室」や「ティートーク」のなかでも、同趣旨の意見も見受けられることから、職員が私生活の上で知り得た市政に関する地域情報、とりわけ防災面 に関わるものなどを関係部署に連絡し、調整すると云った役割については、制度創設を待つまでもなく、また今日中地域に限定することなく、当然のこととして行われることが求められていると考えており、機会あるごとに「市民参加」の期ノン理念を理解させ、職員の意識改革を図る中で、一人ひとりにこれまでにもまして地域の状況に気を留めてもらい、自発的かつ積極的な形で地域と市政をつなぐ役割を果 たしてもらいたいと考えている。

解説  
釘宮市長は市民によるまちづくりを図るという公約に基づいた、市民総参加型市政実現のための真摯な取り組みを展開しています。  多くの市の職員が、居住する地域の中で信頼されるコミュニティーの一員として認知されています。市長の市民総参加型の市政運営のためには、この地域の信頼の厚い地域住民の1人としての、市職員を見逃す手はありません。 市の職員が隣保班生活環境監視員として、自らの暮らす地域の生活環境に関わる情報を、自らが居住する隣保班や地域の住民より常に聴取・収集し、あるいはそれを市政執行に活かし、あるいはそれによって事故や災害を未然に防ぐ事が出来れば、市長にとっては自ら求める市政の姿の完遂につながり、職員にとっては地域の隣人の、さらなる信頼感と連帯感を得ることに繋がります。
 具体的には第3四半期までに職員から隣保班の、例えばポケット補修の必要箇所、ガードレールや街路灯などの交通 安全対策施設や設備、側溝などの清掃や消毒の必要箇所などについて、情報提供をしてもらい、年末年始に大分市内の中小業者に随意契約で施行してもらいます。その財源には入札差金をあてることとして、予算の上限をシーリングします。


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大分市の中長期財政見通 しについて、自主財源比率、公債比率、投資的経費比率の推移予測とともに、一般 会計予算総額そのものの推移予測には?


総務部長答弁
 本市の財政状況は、長引く景気低迷や恒久的減税などの影響により、市税など一般 財源の確保が大変厳しくなっており、また、一方では少子・高齢化、情報化、地方分権などの進展により、行政需要はますます増大・多様化している。
 このような財政状況を踏まえ、今後の税制運営を考えるとき、従来の財政手法では、増大する行政需要に対応していくことは、困難であるとの厳しい判断をしている。
 従って、来年度以降の予算編成に向けて、まずは中長期的な財政収支の見通 しを十分見極めることが肝要であり、現在、中長期財政計画の策的に取り組んでいる。
 今後の財政収支の見通しについては、歳入の根幹をなす市税や地方交付税などの動向に大きく左右され、また国と地方の税財政に関する三位 一体改革の動向がはっきりとは定まってない中では、大変予測しづらい面 がある。  地方交付税など、現行の制度が継続するものとの前提で云えば、まず、自主財源比率については、平成14年度一般 会計の決算では55%の見込みになっているが、本市の場合、自主財源のうち約8割を市税が占めているので、この市税が、今後、内閣府が先に示している伸び率で推移するとすると、当分の間、少なくとも50%程度は維持できるものと考え得ている。
 公債比率については、平成14年度決算では16.5%の見込みとなっているが、清掃工場建設や経済対策への取り組みなどによる償還の影響により、今後平成19年度前後までは上昇すると見込まれ、その後は改善の方向に向かうものと予測している。
 また一般会計全体に占める投資的経費の比率は、平成14年度決算では28.5%となっているが、国が示している地方財政計画においては、投資的経費の規模は抑制傾向にあり、また、公共事業に係る国庫補助負担金についても廃止・縮減の方向が打ち出されている状況からすると、従来のような事業費の確保は極めて厳しく、投資的経費の比率も抑制せざるを得ないと考えている。
 一般会計の予算総額については、厳しい財政状況下にあって、現在、行政改革の推進や事務事業の徹底した見直しなどを行い、財源を捻出して新たな行政需要に対応すべく努力しているところである。
 今後は、本市の財政収支を見据え、後年度の財政負担にも配慮しながら、財源の効率的な配分に務める中、一般 会計の予算総額として、適正な規模を保っていきたいと考えているが、現時点での見通 しとしては、送話器抑制の方向で対応せざるを得ない状況にあると判断している。

解説  
国の行財政改革の基本路線が不透明な中、また市町村合併パターンの定まらない中、中 長期の財政見通しを聞くこと自体は、酷かも知れません。 しかし少なくとも大分市が今後、どうしても実施しなくてはならない大型予算を伴う事業や施策だけは、その年次優先順位 と共に予測できるはずですし、支出部門では大量退職期を目前にしていること、収入部門では特に依存財源である国の交付税や特別 交付金、補助事業の動向などを勘案して、大変厳しい状況であることは容易に想像できます。


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事務事業評価システムについて、その普遍的で公正な物差しとして、ISO9001の認定を受け、その日常管理のための部門を執行部内に設置しては? また外部評価システムを導入し、市民、有識者を含む外部評価チームを、編成しては?


総務部長答弁
 ISO9001については民間組織である国際標準化機構(ISO)が定めた品質管理及び品質保証のためのシステムに関する国際規格であり、これを行政への活用と云う視点から見ると、行政にとって古曲である住民の満足度の向上と、効率的で質の高い行政サービスの提供などを実現するための手法の1つである。
 現在、国内においては、民間事業所を中心に認証取得が行われており、自治体の取得事例としては、全国の自治体で20数市町村程度と限られたものとなっている。
 一方、事務事業評価システムは総合計画の体系を基盤にした施策体系に基づく企画、実施、評価の循環過程であり、必要性、有効性、公共性から事務事業の結果 を、その目的から振り返り、次の事務事業の企画や実施に反映させることである。
 こうした、本市の事務事業評価システムの目的とするところは、市民サービスの一層の向上を図るため、効果 的、かつ効率的な行政運営を実現することである。なお、同様のシステムは、数多くの市町村で導入または検討が行われている。
 ISO9001については、本市が取り組みを進めている事務事業評価システムとその評価手法は異なっているが、市民サービスの一層の充実、向上を目的とする点からは軌を一にすると受け止めており、導入している市町村の具体的な成果 などについて調査していきたい。
 事務事業評価システムに外部評価システムを導入することについては、現在、試行的に「事務事業評価シート」による評価を各部局で実施資、取りまとめているところで、今後は各部局の評価をもとに、三役や関係部長からなる内部検討委員会で実状との精査を行い、さらには客観的に評価していくため、今年度、市民代表、有識者からなる外部評価委員会を設置し、最終的に事務事業評価をする予定である。
 その審議内容については議会への公表はもとより、市民へ公開し、市政運営に於ける説明責任を果 たしていきたい。
 今後は、この事務事業評価システムの市民満足度を高めるため、効率性という視点のみならず政策改善としてのアプローチなど、修正を加えながら、評価結果 が企画立案作業へと反映されるよう、これまで以上に効率的かつ計画的に行財政運営を実施していきたい。

解説  
どんな組織であれ、自らの活動の評価をしないことは許されません。市が自ら実施した施策や事業に関して、その費用対効果 、優先度決定の正否などを含めて、正確な評価システムを有すべきは、論を待ちません。 市民にとって、要はどんな物差しを使って評価するか、誰が評価作業に当たるかが重要な関心事であるにすぎません。


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大分市の犬飼町との合併問題についての考え方を再確認したい。


企画部長答弁
 犬飼町との合併については、6月に犬飼町より大分市への合併協議野田心があって以降の犬飼町政の状況、大野郡の法定協議会の混沌とした行方を考え合わせると、仮に犬飼町から正式な合併協議の申し入れがあるとしても、もう少し先になると思われる。
 その場合、大分市と犬飼町の合併協議がなされる形となっても、まったく白紙の状態からのスタートとなることから、合併特例期限内に合併まで漕ぎ着けることは、日程的に非常に困難であると考えている。
 また、市町村合併につきましては、大分市は合併特例期限内で、かつ、国の財政措置を受けられる合併であることを前提に、合併協議を進めている。現在、国で検討が進められている合併特例法失効後の市町村合併推進のための新たな制度では、税制支援措置は盛り込まれないと云うことのようであり、合併特例法失効後の合併と云うことも、現時点では想定していない。

解説  
既に新聞に何度も取り上げられていましたが、大野郡では法定協議会の設置にこぎ着けながら、混乱の状態を呈していました。 その原因につきましては色々と取りざたされていますが、その一つとして犬飼町に於ける合併先についての町内を2分する論議と、その後の政治的な混乱があります。大分市にとって何ら関与するところの話ではないとはいえ、混迷の度合いを深めているその議論の場に、合併相手の選択肢のひとつとして大分市の名前が登場し、そのことが混迷の一要因であるとされていることは、行政として看過できない信用問題になりかねません。
 勿論、大分市は既に6月12日に来訪した犬飼町の町民の一部の方々、及び翌13日に来訪した犬飼町長と犬飼町議会議長に対して、現副市長が対応して大分市の立場と考え方を伝えています。その会見については当時報道されていますので、既に周知の事実となっていますが、報道の主な内容は「既に法定協議会を立ち上げて、現にその法定協議会に所属している自治体とは、大分市として合併について論議することは出来ない」と云うことと「仮に今から法定協議会を離脱する手続きをして、離脱することが出来、大分市との合併についての論議を始めたとしても、諸般 の事務手続きに要する時間からして、法定期間内に合併までこぎ着けることは物理的に不可能であると考える」ということの2点です。普通 に考えれば、大分市が犬飼町との法的期限内の合併に否定的であることは、十分に認識できるコメントでした。しかしながら混乱した犬飼町民には、その真意が正確に理解されていなかったのも、また事実です。
 わたしとしては副市長の表明した大分市としての考え方は、自治体と自治体の行政上の儀礼や対面 を考えれば、必要にして十分なものであったと考えますし、あとはどのような理解をしようが、その自治体の自由であり、大分市の関知するところではないとも思います。 しかしながら、ここでは犬飼町のみならず、大野郡全体の正確な理解を期して、6月の時の副市長発言より、さらに分かりやすく、さらに一歩踏み込んだ形で、はっきりと、大分市が犬飼町との合併に対して否定的であるとの考え方を再確認し、大野郡の混乱の収拾に寄与する一石とすることを期待して、質問したのです。その後のわたしの質問の効果 については新聞報道などで、大きく取り上げられました。


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新生児もしくは幼児の出来るだけ早期の聴覚検診制度の実現に向けて、現状、何が障壁となっており、何をクリアすべきか?


福祉保健部長答弁
 本市に於ける聴覚障害の早期発見に対する取り組みとしては、3歳児健康診査において聴覚検査を実施しており、これ以前の3〜6ヶ月児検診をはじめとする乳幼児検診においても問診などにより行っている。
 また聴覚障害児及びその保護者に対しては、聾学校用地部の教育相談や障害児施設に於ける訓練、指導が実施されている。
 このような中で、国においては平成12年に、より早期の新生児期に診断が可能となる新しい検査方法の開発などの状況を踏まえ、都道府県、指定都市を実施主体とした試行的事業として検査に対する補助事業を創設し、現在9都道府県においてモデル的に事業を実施している状況である。 この事業の実施に当たっては、新生児聴覚検査が、検診の実施方法として確立されていないことや、各医療機関の検査協力体制、障害発見後の治療及び療育体制、保護者に対する指導・助言体制の整備など解決すべき課題がある。
 しかしながら、難聴を早期に発見し、適切なケアを開始することは重要なことであり、今後の事業の推移と実施の可能性について調査研究をしていきたい。

解説  
本市の新生児の健康診断については現行においても、相当レベルまで達しており、大分市の母子健康行政については、高く評価できるレベルと認識しています。 その上での今回の質問ですが、赤ちゃんの聴覚に障害があった場合、日常的に接触のある母親をはじめ、かかりつけの小児科の医師にもなかなか確認が出来ないのが実状です。例えば赤ちゃんに視覚の問題があるとした場合、保護者にせよ、小児科の医師にせよ、その障害の確認は早い時期に出来ますが、聴覚に於いてはそれが困難なのです。 保育所などで保育士がその職業上の観察力と経験から、子供の聴覚に異常があると云う疑問を持ったとしても、なかなか親に対してそのことを伝えることも、まして正確に理解させることも出来るものではありません。 一方、聴覚に障害あることを早期に発見でき、早期に補聴器などの対応が出来ますと、聴覚障害の影響を最小限に出来、日常生活に何らの障害を生じさせない程度までになることも知られています。 わたし自身、新生児もしくは乳幼児に対する確立した、有効で、かつ正確な聴覚検診の方法を調査いたしましたが、まだ確信を持って提案するところまでには至っていません。日頃、周到な調査研究に基づく、確信を伴う提案を心掛けて来ましたが、この問題に関しては、素人のわたしが調査研究する間にも、また新たに聴覚障害を持った子供が誕生し、その早期発見が出来ないばかりに、聾唖者としてのハンディのある人生を強いられてしまうことになるのではないかという思いに駆られ、市会議員としてよりも、1人の人間として、いらだちと焦りを覚えざるを得ません。 ここは質問や提案と云うよりは、一市民の相談として保健所の豊かな経験と現場の職業意識に依存しつつ、多くの保育士の現場の声や、聴覚障害児であることを、就学期になって初めて認識せざるを得なかった保護者の、なりきれない慚愧の念を、議会の場で取り上げました。


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今後数年に一回程度、風疹の流行年が到来することを含めて、行政として母胎の風疹感染に基づく、不幸な子供の誕生を可能な限り減少させるため、保健所としてどのような対策を考えているか?


福祉保健部長答弁
 平成6年の予防接種法の一部改正により、それまで12才から16才となっていた接種対象が、生後12ヶ月から90ヶ月までに変更になったと事から、接種機会がなくなった昭和54年4月2日から昭和62年10月1日生まれの方については、経過措置が設けられ、本年9月30日までとなっている。
 本市としては是非この機会に接種するよう市報、ホームページ掲載、各戸回覧によるお知らせを実施すると共に、市内の大学、高等学校に対して、ポスターの掲示をを依頼し、さらには市内の高校生全員に接種勧奨のチラシを、学校を通 じて配布しているところである。
 今後とも未接種者への周知に務めるとともに、経過措置対象者の予防接種状況についても注意深く見守っていくことにしている。その中で摂取率の大幅な増加が見られない場合は、市独自の行政措置として、経過措置対象者の接種期間の延長も視野に入れながら未接種者の解消に務めていきたい。
 また、経過措置対象者は勿論のこと、風疹の流行を事前に防止するため、大分市地域保健委員会予防接種小委員会での専門的な審議を通 して、中学生を対象とする風疹の正しい知識の普及啓発や、現在中学2年生に配布している風疹の予防接種説明書の配布対象年齢の拡大など、市況育委員会との連携を強化する中で風疹の予防摂取率の向上を図り、風疹の感染防止に努めていきたい。

解説  
聴覚障害児出生の一因として、妊娠初期の女性の風疹感染の問題があります。ここでは所謂、風疹予防接種の空白期の問題と任意接種であるが故の接種漏れの問題について、改めて保健行政としての今後の対策について聞きました。 国の風疹予防接種空白期の女性に対する公的予防接種事業は今月いっぱいで終了します。平成14年3月末現在、当該年齢の女性は、大分市内に約3万人在住しています。空白期に予防接種漏れとなった割合は、ほぼ当該人口の半数を予測されており、そのうち今回の特別 措置による接種率を勘案しても、8月末現在で未だに20%程度が予防接種していないとされています。大分市の場合、その人口は数千人にのぼる勘定になります。  国の公的助成がなくなりますと、市民の負担額が風疹予防接種1回あたり、平均約5,000円程度になるそうです。 しかし、その負担額よりも重大な問題なのは、妊娠初期の女性が風疹に感染した場合の胎児に対する影響について、市民一般 にまだまだ周知徹底されているといえる状況ではないと云うことです。


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同じく風疹に関しての教育委員会の考えは?


教育長答弁
 風疹の予防接種については、予防接種法改正に伴い、平成8年度から学校での集団接種が廃止され、保護者同伴で実施する個別 接種に移行し、接種義務が努力義務へと緩和された事に伴い、摂取率の低下が危惧されることから、本市教育委員会としては、これまで大分市保健所健康課作成の、保護者あて予防接種啓発パンフレット「風疹の予防接種について」を該当学年である中学2年生の保護者に配布し、予防接種の意義や必要性について、周知を図り、接種の勧奨を行ってきた。
 今後とも、大分市保健所との連携を密にし、所要の措置を講じていきたい。

解説  
 風疹予防接種は現在、以前の14才での強制接種から、1歳半から就学期直前までの間に任意に接種する形に変わりました。これも国の試算では、今日のその摂取率は年平均で約8割前後であり、逆に云いますと毎年2割前後の子供が、風疹の予防接種をしないまま、学齢期に達していると考えられます。  法的根拠を考えたとき、市として、あるいは教育委員会として、予防接種を強制は出来ないまでも、子どもたちの将来を考えた時、学齢期に達した子供の、特に女児の風疹未接種者をスクリーニングして、少なくとも中学校を卒業するまでの間のどこかで、予防接種することの重要性を理解してもらう為の、最大限の努力をすべきと考えます。  ちなみに風疹予防接種は、仮に複数回接種しても、免疫効果にも問題なく、通 常の予防接種事故率が上昇することもないと云われています。


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多目的空間(シンボルロード)の一部もしくは全域の植栽に、これら地域住民の住宅にあった樹木を寄贈してもらい、移植して管理してはどうか?


都市計画部長答弁
大分駅南土地区画整理事業は、皆様方のご理解、ご協力を頂く中、本市の緑化重点地区として緑豊かな地区の形成を目指し、中心市街地に相応しい、ゆとりと潤いのあるまちづくりに向け事業を推進しているところである。  これまでにも当事業で支障となった移植可能なサクラやホルトノキなどの樹木を、自治会と協議を行う中、街区公園内や駅南住宅「みやびのもり」に移植を行ってきた。
 さらには地区内の交差点部にあるポケットパークの整備に際しては、校区内の小中学生からの発想による夢空間の実現を目指すと共に、上野の森の緑とシンボルロードとの緑の連続性を考慮した取り組みをしていきたいと考えていることから、貴重な提言と受け止めたい。

解説  
大分市が現在、大分駅高架事業と平行して鋭意推進している大分駅周辺整備事業は、市の命運を掛けると云っても過言ではない、100年に一度とも云うべき大事業です。  その中の一事業である駅南区画整理事業によって、駅南地区の景観は大きく様変わりしています。その中で一部の住民の方々から、区画整理で移転する際に、移転先のスペースの関係で、どうしても持っていけない樹木があり、伐ってしまうのは忍びないが、何とかならないかとの声が聞かれます。  それらの樹木や植栽を、シンボルロードの植栽に利用し、空間全体に使える樹木の場合は、その木に寄贈者の名前と寄贈年月日を記したプレートを配置し、特定箇所に集中して植栽するのであれば、その場所を駅南メモリアルガーデンとすることで、永く市民の思い出を残すことが出来ます。シンボルロードに対する市民の親しみと理解を得るためにも、有効な施策だとわたしは考えています。

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市の清掃工場や最終処分場に持ち込まれる、事業系ゴミの全量 展開確認作業を、抜き打ち抽出サンプル方式で、全ての業者に対して実施し、違反者を不法投棄に匹敵する処罰を前提に、厳しく取り締まると同時に、その業者名を公表してはどうか。 さらにゴミの原因者責任を適応して、2回以上違反した収集業者にゴミの収集を依頼していた事業者についても、その事業者名を公表するなどのペナルティを掛けるべきでは?


環境部長答弁
 市の施設に持ち込まれる事業系ゴミに対しては、これまでも抽出による搬入物の検査・指導を実施し、違反車両については、現地での指導や搬入拒否などを行うと共に、責任者へ直接、注意・指導を行ってきたところである。 排出事業者についても、今年度「事業系パンフレット」を作成し、ゴミの「減量 」や「リサイクル」への取り組み、及び「適正処理」についての啓発に取り組んだところでもある。
 しかしながら、注意・指導のみでは徹底が十分に図れないことから、今後は、搬入物検査の実施回数を増やし、指導体制についてもより一層の充実を図ることとしている。
 また違反を繰り返す悪質な収集業者に対しては、業者名を公表すると共に、排出業者についても指導の徹底を図りたいと考えている。排出業者名の公表については、効果 を検証する中で検討していきたい。

解説  
大分市の事業系ゴミの収集業者の間で、収集料金の価格競争に対して、生じている問題のひとつが、大分市の清掃行政そのものに起因していると云うことを指摘し、当局の基本姿勢を質しました。
 現在事業系ゴミを収集運搬する業者の中には、ゴミを出す排出事業者の分別 を前提に、価格設定しようとする健全・善良な業者と、分別しないままのゴミを収集する事を前提に価格設定する業者がいると聞いています。  収集業者はリサイクル可能なもの、環境汚染原因物質を含むものなどを分別 した後、可燃ゴミ、不燃ゴミの形で大分市の清掃工場や最終処分場に持ち込んでいるはずです。 ところが善良な収集業者が問題にしているのは、大分市が搬入されるゴミの分別 状況の確認作業を厳格にしていないため、別の言い方をすれば、どんなゴミも無検査で持ち込むことを、事実上可能にしている現状のため、結果 として事業系ゴミの分別収集の必要性を否定し、ひいては価格設定に不当な取引を許してしまう大きな要因となっているという事です。
 いやしくも可能な限りのゴミ減量と、可能な限りのリサイクルを実践し、市民にも協力を求めるべき市の清掃行政として、自らの管理するゴミ処理施設が原因で、ゴミの減量 やリサイクルに努力しようとする、善良な業者の営業活動を阻害し、あまつさえ不法な業者の跋扈を放置することは絶対に許されません。 大分市のゴミ問題については、既に何度も取り上げていますが、今後の大分市の清掃行政、環境行政に対する、市民の理解と協力を得るためにも、また捨て得や、分別 作業を怠けようとする一部の不心得者を、社会的に許さないためにも、さらには環境問題を正確に理解し、自らの事業との整合性を真摯に図ろうとする、善良な収集業者やリサイクル事業者のみを、保護育成していくためにも、不法投棄や違反持ち込みを絶対に許さない体制を構築することが求められています。

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