平成17年9月11日投票日の総選挙について
 (8月18日つかさ会でのフォーラムより抜粋)

今度の選挙では何を基準に候補者を選択すればいいのでしょうか?




今度の選挙は将来「ああ、あの時に日本は大きく舵を切ったんだな」と思わせることになる、節目の総選挙になると思います。

 そこで、わたしなりに今度の選挙について考えたことをお話したいと思います。
 
 まずわたしは今度の選挙を「国民の独立宣言選挙」と捉えています。
何から独立するのかといいますと3つの支配からの独立です。その3つとは
1.米国(国際投機市場)支配からの独立
2.官僚支配(中央集権)からの独立
3.一党支配(55年体制)からの独立
 
 少し説明をさせてください。
1.まず、米国支配からの独立とは米国の社会を支えている投機システムからの独立です。
 デリバティブやヘッジファンドはパソコンのキー一つで何億というお金が動き、それだけで実際には何も生産せず、何も消費しないままにお金儲けができるシステムです。
 日本はバブル経済という高い授業料を払わされて、債券や株券、不動産の権利書を転がすだけでお金を生み出せるということが、実は幻想であるということを、いやというほど思い知らされたはずです。
 額に汗して、何かを生産し、あるいは何かを商うことによって、生きるために必要な収入を得る事を忘れた国は、必ず衰えます。そのことは歴史の必然なのです。債券や株券、不動産の権利書だけが、あふれている国を想像してもらえれば、すぐわかることです。ただの紙切れをいくら積み上げても、いざという時の腹の足しにはなりません。
 さらにバブル経済が破綻しないためには、際限なく資金をつぎ込んでいく必要があります。云ってみれば、いんちき賭博場はいつも金持ちのボンボンを待っているということです。人の良い金持ちのボンボンを食い物にして、丸裸にすることによって、その賭博場は成り立っているのです。米国中心に構築されたデリバティブやヘッジファンドの世界も、常にカモになる新しい資金を求めているのです。
 小泉政権の構想どおりに、今すぐ郵政の民営化が実現すれば、郵貯・簡保併せて340兆円の資金は利息の回収を求めて、その大部分が資金運用と称する世界につぎ込まれてしまいます。米国の金融資本は虎視眈々とそれを狙っているのです。
 自民党は激変緩和のため、民営化しても10年間は今までどおり、郵貯簡保の資金は財形投融資国債にのみ投入するとしています。しかし、それでは民営化する意味のほとんど全てが失われますし、民間企業となった新しい銀行が破綻状態にある日本国政府よりも安全で、ハイリターンの金融市場に目をつぶっていられるでしょうか。
 郵政民営化そのものは論議し尽くしていない部分も多く、これからの政治課題として避けて通れないテーマでしょう。しかし、いずれにしても郵貯簡保の有している資金を海外に流出させ、それで日本が自分の首を絞めることになることだけは、避けるべきでしょう。
 今、値上がりが続いている原油価格も要するに投機によるものです。小泉郵政改革案が成立すれば、原油価格は100ドルを突破し、大分県内のガソリンが1リットル200円ということにもなりかねません。
 もうそろそろ、日本は米国型の成長至上経済から独立して、ヨーロッパ型の安定至上経済を志向するべきではないでしょうかを

2.次に官僚支配からの独立についてです。
 行政改革についての自民党と民主党のそれぞれの選挙公約を比べてみますと、自民党は地方公務員を減らす政策、民主党は国家公務員を減らす政策ということができます。
 さらに地方分権の要である財源移譲については、自民党案では補助金20兆円のうち、3兆円だけを地方に任せよう、民主党案では逆に2兆円だけを国に残して、後は全て地方に財源移譲しようというものです。自民党は地方には自治の能力がないから、中央の指導権限が必要とも云っています。
 わたしは地方議員として自民党のいうような、地方に自治の能力がないという考え方に腹が立って仕方がありません。小泉政権の云う改革は結局のところ、霞ヶ関には及ばないのです。なぜでしょうか、それは小泉政権が今までの自民党政権と同じく、実は霞ヶ関官僚軍団の傀儡(かいらい)でしかないからです。
 明治維新以来、日本は極端な中央集権政治体制をとってきました。そして、今なお、中央集権制以外の政体を選択させないというのは、霞ヶ関集権政治が一体誰にとって得する政体なのか、ちょっと考えてみれば、すぐにわかることです。
 そろそろ、小泉流のまやかし演説の陰に隠れてほくそえんでいる、霞ヶ関の怪物どもの姿をしっかりと見つめようではありませんか。

3.最後は一党支配からの独立についてです。
 自民党と民主党の違いは「ライスカレーとカレーライスの違い」でしかないと、テレビで社民党の党首、福嶋瑞穂さんが話していました。ある意味、云いえて妙だと思います。そして、だからこそ安心して政権交代を考えることができるのだと、わたしは思います。
 政権が変わるとカレーライスが唐辛子で真っ赤な中華料理や、トマトで真っ赤になったロシア料理になったりするというのでは困ります。
 1955年、それまでの自由党と民主党が連合して自由民主党に、左右に分裂していた社会党が再統一を果たして、所謂55年体制といわれる2大政党制が始まりました。とはいえ、実際の議員数はは自由民主党2対社会党1という状態で、事実上の1党支配の始まりでもありました。東西冷戦時代の中で、それぞれの政党はまったく違うイデオロギーを党是として取り入れ、政権交代はすなわち国の形そのものを変えかねない危険性を孕み、国民世論はそのことを受け入れませんでした。
 冷戦時代が終わり、自民党が分裂して日本新党が生まれ、まるで流れに浮かぶ泡のような二人の首相を出して、はかなく短い政権を握った外は、この50年間、国民は同じ政党に政権担当をさせる以外の選択肢を持ちえませんでした 。
 冷戦が終わり、イデオロギーに自信を失って権力に擦り寄った社会党は、自由民主党との連立政権で首相を生み出したのを花道に、政治の舞台から消えてしまいました。
 そして紆余曲折の中から新しく「民主党」が自民党との対立軸として誕生しました。この政党はイデオロギーの時代が終わった現代社会を反映して、イデオロギーを党是とせず、代わりにマニフェストを選挙のたびに、党の基本方針として決定し、公表することを党是にかえることにしているようです。
 わたしを含めて、多くの国民は民主党に対して、なんとなく頼りないという感じを持っています。インチキ祈祷師のような風貌の小泉首相に対して、岡田党首はなんと生真面目で、ひ弱でしょう。しかし、だからこそ、わたしは今回の選挙で民主党に勝たせたいと考えているのです。インチキより生真面目の方が良いに決まっています。
 50年もの一党支配によって構築された権力構造によって、ミモレットのような高級なチーズは使われているが腐ってしまったカレーライスではなく、出来立てで、まだ味もしみていないかもしれないけれど、少なくともできたてで、腐っていないライスカレーと、どちらを食べるかと聞かれれば、答は決まっています。
 腐ったカレーライスを腐っていないと勘違いさせる、インチキ祈祷師の腕はたいしたものです。集団催眠術にかかったように、マスコミが囃し方を引き受けてはいますが、食べさせられる国民の方は、食べて腹を壊してからでは遅いのです。既に中毒症状は出ています。今、この国を被う、得も知れぬ焦燥感、不安感、嫌悪感こそが、その中毒症状なのです。
 2大政党制だけがあるべき姿とは思いませんが、一党独裁体制からは一日も早く独立するべきだと わたしは考えます。

 あまりテレビなどでは論議されていない視点ですが、あえてお話させていただきました。あとは皆さんの皆さんご自身のご判断を期待するのみです。9月11日、日本の政治史の1ページが塗り替えられる投票日になることでしょう。
 どうか、投票所にお運びの上、その歴史の瞬間にご参加ください。
 

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